サプリや健康食品で摂る場合の注意点
副作用の心配がないと言われるサプリや健康食品でも、腎臓病を患っている人は注意が必要です。ここでは、サプリを摂る時に気を付けなければならない点をまとめてみました。
摂り過ぎは逆効果!腎臓に負荷をかけない量を
サプリメントと言えば薬ではないものの、健康に良いものとして多くの方が取り入れています。
普段の食生活の中でどうしても不足してしまう栄養素がありますよね。サプリメントはそういった栄養素を手軽に取り入れるのにも役立ってくれるでしょう。
しかし、慢性腎臓病や生活習慣病などの持病を抱えている人はサプリメントを取り入れる際にも注意しておかなければならないことがあります。
そもそもサプリメントは健康補助食品という扱いになるのですが、食品だからといって副作用のリスクがないわけではありません。取りすぎてしまった場合には腎臓や肝臓の機能に負担をかけるだけでなく、病気を悪化させる原因に繋がってしまうこともあるのです。
例えば、次の各栄養素を過剰摂取した場合には以下のような副作用の心配があります。
- ビタミンA…頭痛や吐き気を誘発する
- ビタミンD…倦怠感や腎機能低下
- カルシウム…内臓に結石ができることがある
- マグネシウム…血圧の低下
栄養素の中には大量に摂取した場合に体内に蓄積されてしまうタイプのものもあります。
これを排泄するために腎臓や肝臓が必要以上に働き、負担がかかってしまうのです。
サプリや健康食品の過剰摂取が腎臓にかける負担とは?
そもそも、腎臓はどのような役割を持っている臓器なのか?というと、骨を作る際に欠かせないビタミンDを活性化させたり、体内の水分量を調整する役割があります。
また、重要な働きの一つとして挙げられるのが、老廃物を排出させる作用です。体内で不要になったもの(老廃物や塩分)は血液の循環によって腎臓に運ばれて「ろ過」されます。きれいになった血液は心臓へ戻り、残ったものは尿として排出されます。
通常、サプリメントで多少栄養素を取りすぎたとしても、腎臓が働いて不要な栄養素を尿として体外に排出してくれるため、心配はいりません。 しかし、日常的にたくさんの栄養素を過剰摂取し、それが続いてしまった場合にはどうなるのでしょうか。
このような状態が継続した場合、腎臓は更に活発に働かなければなりません。すると、腎臓に大きな負担がかかることになってしまい、機能が低下してしまう恐れがあるのです。
特に慢性腎臓病の場合はすでに腎臓の機能が低下している状態でもあるので、そのようなケースでサプリメントを過剰摂取してしまうと不要な成分の排出が追いつかず、体には様々な悪影響をもたらしてしまう恐れがあります。
水溶性のビタミン類は体内に排出されるから多少取りすぎても問題ないと言われます。しかし、腎臓病の場合はあまった栄養素を排出する尿を作る際に腎臓に大きな負担がかかるため、過剰摂取には気をつけておきましょう。
特に気をつけたい成分
栄養素というと、体に良いものという認識がある方が多いですが、過剰摂取は不健康を招きます。中でも特に注意しておきたい栄養素についてまとめました。
ビタミン類
ビタミン類は、水に溶ける水溶性のものと、油に溶ける脂溶性の2種類があります。気をつけなければならないのが、脂溶性のビタミンに分類されるビタミンA・D・E・Kです。 脂溶性のビタミンは体内に吸収されやすいだけでなく、過剰摂取しても体外に排出されません。
これにより過剰症を引き起こしてしまうことがあるのです。
ミネラル
ミネラル類も美容や健康に効果的なで栄養素として、積極的にサプリメントで取り入れている方も多いでしょう。しかし、過剰摂取した場合には次のような危険性があります。
まず、カルシウムについては長期間にわたって過剰摂取した場合に結石や甲状腺機能障害が現れることもあり、クロムの過剰摂取は免疫力の低下を招きます。
セレンを取りすぎた場合には脱毛や流産といった心配も出てくるので、取りすぎには注意しましょう。
ウコン
抗凝固剤(ワルファリン)を服用している方が取り入れると効果が強く出すぎてしまうことがあります。
ケールの青汁
腎臓の機能が低下している方がカリウムが豊富に含まれているケールの青汁をとると、高カリウム血症に繋がる恐れがあります。また、カリウムは抗凝固剤の働きを弱めるので気をつけておきましょう。
ビタミンは上限摂取量を守ろう
ビタミンを取り入れようと思った際には、必ず上限摂取量を超えないように注意していかなければなりません。
ここでは、厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準2015年版を参考に18歳以上の耐容上限量についてご紹介しましょう。
- ビタミンA…2,700μg(RAE)
- ビタミンD…100μg
- ビタミンE…男:750~900mg、女:650~700mg
- ナイアシン…男:75~85mg、女:60~65mg
- ビタミンB6…男:50~60mg、女:40~45mg
- 葉酸…男:900~1,000μg
水溶性のビタミンなど、ほとんど過剰摂取の心配もないものについては上限摂取量が定められていないものもありますが、このように各ビタミンには上限摂取量が定められています。
1つの参考にしてみてくださいね。
注意しなければならないのが、サプリメントに含まれている栄養素の含有量を間違えて認識しているケースです。本当は2粒で目安量を満たせるものの、間違えて6粒取り入れ続けたりすると過剰摂取に繋がる恐れもあるので十分に注意しておきましょう。
参考:(PDF)厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要[PDF]
カリウム制限中は医師に相談しよう
腎臓病になると、体内に溜まっているカリウムをうまく尿中に排出することができなくなってしまいます。
すると、「高カリウム血症」になるリスクが上がるのですが、このような状態になると胃腸障害や筋力の低下、また、命に係わる重度の不整脈を引き起こしてしまうリスクがあります。
食事療法でカリウム制限をする際にはステージ3bが2,000mg以下、ステージ4~5では1,500以下が目標です。
しかし、この数値を守っているつもりでも、サプリメント中に想定外のカリウムが含まれていてコントロールがうまくいかなくなってしまうケースがあります。
「カリウム」と名のついたサプリ以外にもカリウムが含まれていることがあるので、十分に注意しておきましょう。
特に気をつけなければならないのが高血圧やむくみ、脳卒中の予防などを謳っているサプリメントです。
これらの中には多くのカリウムを含んでいるものもあるので、取り入れたいサプリメントがある際には必ず主治医に相談してから摂るようにしましょう。