知って欲しい、慢性腎臓病(CKD)の原因・症状・予防方法

よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド 予防・早期発見・合併症防止のためにできること
よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド » 原因は?症状は?慢性腎臓病を知る » その1 原因となる生活習慣 » 慢性腎臓病と運動

慢性腎臓病と運動

禁煙や節酒、減塩、適度な運動、十分な睡眠やストレスケアなど、生活習慣の改善は腎臓を健康に保つための基本です。なかでも運動不足の解消は、全身の健康を維持するために欠かせません。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、適度な運動が、メタボリックシンドロームを含めた循環器疾患、糖尿病、がんといった生活習慣病の発症や死亡リスクを下げることが報告されています。

運動が気分転換やストレス解消につながり、心理的な面でもプラスにはたらくことについてもふれられており、健康に関して幅広い効用が期待できると考えられています。

運動が全身にもたらす効果

運動不足が引き起こす慢性腎臓病へのリスク

運動が全身の健康に幅広く寄与していることを考えれば、運動不足が健康にあまりよくない影響をおよぼしていることも想像に難くないでしょう。2018年10月、アメリカのクリーブランド・クリニックは「運動不足は心血管疾患や糖尿病、喫煙習慣などと同等もしくはそれ以上に体に悪い」とする研究結果を発表しました。

イギリスの有力紙デイリー・メールのオンライン版に掲載された「運動不足と中年の死因」に関する調査報告でも、普段運動をせず有酸素能力が低い人ほど死亡リスクが高く、有酸素能力が死亡リスクに与える影響は、喫煙の次に高かったとしています。

運動不足は、近年話題となっているメタボリックシンドロームの主たる原因の1つでもあり、糖尿病、高血圧、脂質異常症などさまざまな生活習慣病を引き起こします。これらの疾患は腎臓へも大きな負荷をかけるものばかりです。

メタボリックシンドロームは慢性腎臓病の危険因子

近年の研究では、メタボリックシンドロームが慢性腎臓病に引き金になることが報告されています。

糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、動脈硬化に代表される血管障害の発症に深く関わっています。血液を通して体内のさまざまな生理機能をコントロールする役割を担う腎臓には、微細な血管の集まる糸球体や、尿細管を取り巻く大小さまざまな血管が集中しているため、血管障害による影響を受けやすく、それが腎機能の悪化に直結しているのです。また、腎機能が悪化するとさらに、生活習慣病が進み、血管障害が進むという悪循環に陥ることも。

メタボリックシンドロームは、「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」など腎臓病のリスクを上げる生活習慣病をすべて含んでいるため、慢性腎臓病の重大な危険因子と考えられているのです。

糖尿病

糖尿病は透析を始めるきっかけとなる疾患の第1位です。糖尿病には、すい臓がインスリンを作れない「1型糖尿病」と、インスリンの量が十分でない・はたらきが十分でない「2型糖尿病」があります。メタボリックシンドロームが原因で発症するのは2型糖尿病のほうで、その発症には遺伝的素因のほか、過食や運動不足、肥満などが係わっています。

高血糖の状態が続くと、細い血管が傷つけられる細小血管症が生じます。腎臓の糸球体には毛細血管が集中しているため、症状が進むと糸球体全体がダメージを受け、血液のろ過機能に異常をきたすようになるのです。

糖尿病を放置すると、半分くらいの確率で糖尿病性腎症を発症するとも言われています。初期の腎症は自覚症状がありません。高血糖の症状が出たら、適切な血糖コントロールを行うと同時に、腎臓病の検査を受診されることをおすすめします。

高血圧

高血圧が続くと動脈硬化を起こすことが知られています。腎臓の血管が動脈硬化を起こすと、血液の流入量が減少して次第に腎臓の機能が低下し、腎硬化症と呼ばれる慢性腎臓病の症状の1つを引き起こします。

生活習慣病のなかでも、高血圧と腎臓病は「どちらかが悪化すると、もう片方も悪化する」という表裏一体の関係にあり、次のような悪循環に陥ってしまうので注意が必要です。

  1. 高血圧が動脈硬化を起こす
  2. 腎臓の血管が硬くなり血液の流入量が減る
  3. 腎機能が衰える。やがて腎臓全体が硬く小さくなる(腎硬化症)
  4. 水分や塩分を正常に排泄できず、体液(血液)量が増えて血圧が上昇する

動脈硬化は、心筋梗塞や心不全などのリスクも高めます。減塩や適度な運動など、日ごろから高血圧にならないような生活習慣を送ることが大切です。

脂質異常症

脂質異常とは、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪などの脂質が、一定基準よりも多い状態のことを言います。血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、腎臓の機能を悪化させる原因になります。

過食と運動不足によって起こる肥満は、脂質異常症を加速させると言われています。特に、腹部に内臓脂肪がたまる「リンゴ型肥満」は要注意です。米国腎臓学会の学会誌に発表された研究によると、リンゴ型肥満は、皮下脂肪がたまる「洋ナシ型肥満」に比べて、腎機能が低下して血圧が高く、年齢が進むと慢性腎臓病を発症するリスクが高い傾向にあることがわかりました。

その原因となるのが、内臓脂肪が分泌するアンジオテンシノーゲンという物質です。

腎臓はレニンという物質を分泌して血圧を調整(上昇)しており、アンジオテンシノーゲンにはそれを亢進させる作用があります。内臓脂肪が正常な量であれば問題ないのですが、肥満によって内臓脂肪が増えてくると、必要以上のアンジオテンシノーゲンが放出されるようになり、高血圧をきたしてしまうのです。

参考文献

あわせて読みたい慢性腎臓病の基礎知識
腎臓によい成分とは?

腎臓への負担を軽減させる成分を意識的に摂り、腎臓を長持ちさせる工夫ができるよう、心がけていきましょう。

詳しく見る

慢性腎臓病が進行すると?

腎臓は人体の中で重要な役割を果たしており、腎機能が弱まることで様々な合併症を引き起こすことがあります。

詳しく見る

知っておこう慢性腎臓病と高血圧の関係

慢性腎臓病と高血圧は、とても密接な関係にあります。血液をサラサラにすることは、予防・改善につながります。

詳しく見る