知って欲しい、慢性腎臓病(CKD)の原因・症状・予防方法

よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド 予防・早期発見・合併症防止のためにできること
よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド » 慢性腎臓病との付き合い方~食事内容の改善~ » 控えたい食事

控えたい食事

自覚症状が少なく病状が進行してから気づく人もいる慢性腎臓病は、タンパク質や塩分、カリウムなどを控えながらエネルギーを摂取していくことが不可欠です。ここでは、腎臓に悪い食べ物や控えたい食事を説明していきます。

腎臓に悪い食事とは?注意すべき栄養素

タンパク質コントロールの必要性と注意点

タンパク質は体の中でアミノ酸となり、体を構成する重要な栄養素です。しかし、過剰に摂取するとタンパク質は尿素窒素などの老廃物として腎臓から排出されるのです。ところが、腎臓の機能が低下すると血液中に老廃物が蓄積し、さらに腎臓に負担をかけます。
このような悪循環を防ぐために、タンパク質を制限する必要があるのです。精白米や大豆などの植物性タンパク質は、アミノ酸の配分が悪く控えた方がよい食品と言えます。タンパク質の含有量を通常の10分の1に抑えた、ご飯・パン・麺類などの特殊食品を食事に活用すると良いでしょう。

塩分コントロールの必要性と注意点

腎臓の機能が低下すると、ナトリウムを排出する機能も落ちてしまいます。そのため、塩分制限をしないと血圧が上昇し、体はむくみ、さらに腎臓に負担をかけてしまうことになるのです。
高血圧やステージが進んでいる慢性腎臓病の人は特に塩分制限が重要です。1日あたりの塩分の目安量は3~6gですが、病状により個人差があるので気を付けましょう。肉や魚などの加工食品は塩分が多く使用されているので控えるのが賢明です。調味料は減塩しょうゆを使用し、お酢やレモンなどの酸味を生かして減塩料理を楽しみましょう。

カロリーコントロールの必要性と注意点

糖質・脂質などの必要なエネルギーが不足すると、エネルギーを作るためにタンパク質が分解され、老廃物が増えてしまいます。すると、尿素窒素などの老廃物が腎臓へ負担をかけてしまうのです。
腎臓病の食事制限で陥りやすいエネルギー不足を補うのは、タンパク質が含まれていない砂糖やサラダ油、マヨネーズなどの高エネルギー食品です。お菓子でカロリーを補う場合は、穀類や小豆、牛乳、卵などのタンパク質を含むものは控えましょう。

カリウムコントロールの必要性と注意点

腎臓の機能が低下するとカリウムの排出も減少し、「高カリウム血症」に陥ります。高カリウム血症とは電解質代謝異常症のひとつで、血液中のカリウム濃度が高くなり、不整脈や頻脈、手足のしびれ、筋力の低下などを引き起こすのです。
慢性腎臓病の人は、カリウムを多く含む生野菜・果物・豆類・イモ類の摂取を控える必要があります。カリウムは水やお湯に溶けやすい性質を持っているので、野菜は細かく切って茹でこぼし、流水にさらして成分を減らすなど調理法を工夫するのがポイントです。

水分コントロールの必要性と注意点

腎機能が低下すると、体内にたまった水分を排出できなくなってしまいます。そのため、体内に水分が貯留してしまい、体重が増加し、血圧が上昇してしまいます。ひどくなると、心不全や肺水腫、呼吸困難といった命に関わる状態にもなってしまいます。
そのため、腎臓病の患者さんは水分制限をする必要があるのです。飲み水やお茶などの飲料が多くならないように気をつけたり、水分の多い料理を控えるようにする工夫が必要となります。

リンコントロールの必要性と注意点

腎臓の機能が低下すると、体内の余分なリンを排出できなくなり、高リン血症になってしまいます。
リンは、体内ではカルシウムに次いで多く存在するミネラルで、細胞のエネルギーの代謝や骨の形成に関わっています。このリンが体内で増加して起こるのが、二次性副甲状腺機能亢進症です。
たくさんある腎臓の機能のひとつに「活性型ビタミンD」の産生があり、これによって人の骨は丈夫に保たれています。腎機能が低下すると、活性型ビタミンDが減って腸からカルシウムを吸収できなくなり、血中のカルシウム濃度が低下してしまいます。
この状態が長く続くと、甲状腺の裏にある小さな臓器である副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が多量に分泌されるようになるのです。その結果、骨からカルシウムとリンが溶かし出されるようになり、骨の密度が低くなって骨折しやすくなってしまうのです。
また、血管や関節、皮膚の下などに石灰化(カルシウムとリンが骨でない場所に沈着する現象)が起こり、心筋梗塞や脳梗塞、皮膚のかゆみ、関節の可動域の低下などを引き起こす可能性もあります。
リンはタンパク質を多く含んだ食品やインスタント食品などに含まれており、これらの摂取を控えることが大切です。

腎臓に悪い食べ物

腎臓病の場合、上記で説明したようにタンパク質・塩分・カロリー・カリウム・リンのコントロールが重要となります。これらをコントロールするためには、以下のような食品は避けるように気をつけましょう。

タンパク質

肉や卵、魚などのタンパク質は、分解されて尿素窒素になり排出が難しくなるほか、二次性副甲状腺機能亢進症の原因となるリンも多く含んでいます。腎臓病の方が多く摂りすぎることはよくありませんが、体に必要な栄養も多く含まれていますので、必要な量はきちんと摂取する必要があります。
適切なタンパク質の量は、腎臓病の病態によって異なります。かかりつけの医師や栄養士に確認し、必要な量を摂取するようにしましょう。

練り物、加工食品

かまぼこやちくわといった練り物、ハムやソーセージ、干物などの加工食品は塩分やリンが多く含まれています。これらの食品は避けるようにした方が良いでしょう。特に冬場に食べる機会の多いおでんは練り物が多く使われているので、注意が必要です。

野菜、果物

野菜や果物には、カリウムが多く含まれています。血中のカリウム濃度が上昇すると、不整脈を起こし、場合によっては心停止を起こし死に至ってしまうこともありますので、注意するようにしましょう。
野菜は1日200g程度を目安にしてください。カリウムは水に溶け出る性質がありますので、食べる際は茹でこぼしたり、水にさらしたりしてから食べると良いでしょう。茹でたからといってカリウムをすべて除去できるわけではありませんが、生で食べるよりは含有量を減らすことができます。
果物は、1日50g程度が目安となります。果物の中でもメロンやキウイ、バナナは特にカリウムが多く含まれていますので、これらはできるだけ避けるようにしましょう。

漬物、佃煮

漬物や佃煮には、塩分が多く含まれています。できるだけ摂取は控えるようにしましょう。

味噌汁、鍋料理、麺料理

味噌汁や鍋、ラーメンなどの麺類は水分の過剰摂取につながるほか、スープや汁の塩分が高いので注意が必要です。スープや汁は残すようにしましょう。調理の際は具沢山にして、スープや汁の量が少なくなるようにすることもポイントです。

インスタント食品

インスタント食品は塩分やリンが多いので、できるだけ控えるようにしましょう。

調味料

醤油や味噌、塩などを使いすぎると、塩分過多になってしまいます。調理の際は計量スプーンを使って、どのくらいの量を使っているか把握するようにしましょう。醤油やソースなどはかけて使うと使い過ぎてしまいがちなので、小皿にとってつけて食べるようにするのがおすすめです。

調理・食事の際に気をつけたいポイント

塩分が少なくなるように工夫しよう

調理の際はできるだけ塩分が少なくなるよう、注意する必要があります。塩分だけで味をつけようとすると塩分過多になってしまいますので、素材のうまみなどをうまく活用しましょう。

香味野菜:ネギやしそ、にんにく、生姜、ミョウガ、セロリ、わさびなど
酸味のある食材:レモン、ゆず、すだち、酢など
香辛料:唐辛子、山椒、ごま、七味、カレー粉ほか各種スパイス類など

煮物などを作るときは、カツオでとった出汁を活用するのもおすすめです。炒め物や煮物は、少ない塩分で十分な味付けができるように、くず粉や片栗粉でとろみをつけてあんかけ風にするとよいでしょう。
料理に使う食材は新鮮なものを選んだ方が、余計な塩分を使わず美味しく食べることができます。

水分を制限するための工夫をしよう

腎臓病の方は水分を排出できなくなってくなるので、ステージに合わせて水分制限をしなくてはなりません。汁物や鍋物などの水分の多い料理はできるだけ控え、食べるときは水分は残すようにしましょう。
普段飲む水やお茶、コーヒー、ジュースなどの量にも気を配る必要があります。使うコップを小さくする、冷たい飲み物ではなく温かい飲み物にして少しずつ飲む、などの工夫をするようにしましょう。

エネルギーをとる工夫をしよう

カロリーのとり過ぎは腎臓の負担となってしまいますが、体力や栄養の維持のためにも、必要なエネルギーはきちんと摂取する必要があります。エネルギー源となる炭水化物(ご飯やパン、砂糖、油など)は減らし過ぎないようにする工夫が大切です。
1食でまとめ食いをする習慣があると、食べ過ぎてしまいます。3食にわけでバランスよく摂取するようにしましょう。
カロリー、栄養のバランスをよくするためには、偏った食材・調理法にならないようにする工夫も大切です。主食と副食をうまく組み合わせて、さまざまな食材をとるように工夫してみてください。
エネルギー量が不足する場合には、ドレッシングやマヨネーズ、オリーブオイルなどの油類を活用すると、簡単にエネルギーアップができるようになります。

良質のタンパク質を選ぼう

タンパク質はリンを多く含み、分解後の排出の際に腎臓に負担がかかる食材ではありますが、体に良い栄養を多く含んでいる食材でもあります。必要な量のタンパク質をとることは大切ですが、その際に選ぶ食材には注意しましょう。
タンパク質を選ぶときに参考となるのが、アミノ酸スコアです。タンパク質はアミノ酸を中心とした成分で作られています。アミノ酸にはいろいろな種類があり、その中でも体に必要なアミノ酸が必須アミノ酸です。
タンパク質を構成するアミノ酸のうち、必須アミノ酸の割合が高いものが、アミノ酸スコアが高い食材とされています。タンパク質の含まれた食材を選ぶときは、できるだけアミノ酸スコアの高いものを選ぶようにしましょう。

主なタンパク質の多い食材のアミノ酸スコアは、以下の通りです。

100:牛肉、卵、牛乳、鶏もも肉、豚ロース肉、秋刀魚、鮭、鯖
88:さつまいも
86:大豆
84:納豆
68:じゃがいも、さやいんげん、アスパラガス
65:そば、精白米飯

アミノ酸スコアが低い食材ばかりを選ぶと、栄養が不足してしまう可能性があります。動物性タンパク質も含め、バランスよくとるように心がけましょう。

・低リン、低カリウム食品を活用しよう
近年では、リンやカリウムの量が少なくなるよう工夫された食材が販売されています。低リン牛乳やタンパク質調整食品、低カリウムレタス・メロンなどがありますので、乳製品やタンパク質、野菜・果物などを食べたいときはこういった食材を活用することもおすすめです。

参考文献

各栄養素の摂取目安量はこちらでチェック

※こちらの記事も読まれています※

慢性腎臓病のカギは「血圧」にあった!

あわせて読みたい慢性腎臓病の基礎知識
腎臓によい成分とは?

腎臓への負担を軽減させる成分を意識的に摂り、腎臓を長持ちさせる工夫ができるよう、心がけていきましょう。

詳しく見る

慢性腎臓病が進行すると?

腎臓は人体の中で重要な役割を果たしており、腎機能が弱まることで様々な合併症を引き起こすことがあります。

詳しく見る

知っておこう慢性腎臓病と高血圧の関係

慢性腎臓病と高血圧は、とても密接な関係にあります。血液をサラサラにすることは、予防・改善につながります。

詳しく見る