よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド 予防・早期発見・合併症防止のためにできること

知って欲しい、慢性腎臓病(CKD)の原因・症状・予防方法

よくわかる慢性腎臓病(CKD)ガイド 予防・早期発見・合併症防止のためにできること

慢性腎臓病(CKD)とは?

腎臓は血液や老廃物の循環を整える、人体の中でも特に重要な働きをする臓器です。慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease 通称:CKD)とは、そんな腎臓の機能が恒常的に低下してしまう病気です。

CKDはあらゆる人に発症のリスクがあり、日本国内の潜在患者は1300万人以上もいると言われています。このサイトでは、原因や初期症状、日常生活での注意点などを紹介しています。

慢性腎臓病(CKD)は「隠れた流行病」

「慢性腎臓病(CKD)」と言われても、具体的な症状やリスクが浮かんでこないという方も多いでしょう。確かに、慢性腎臓病はこれまで軽視されてきた疾患ですが、実は世界では「隠れた流行病」とも言われ、患者数が世界的に右肩上がりとなっている疾患です。その患者数は世界で約8億5,000万人とも言われており、専門家は早期発見のための検査の重要性を訴えています。それでは、慢性腎臓病が流行している理由や健康障害について、詳しくご紹介しましょう。

慢性腎臓病(CKD)の原因は?世界中で拡大する脅威。

それでは、なぜ現在、世界的に慢性腎臓病の患者数が増加してきているのでしょうか。それは、現代の人々の生活習慣に起因します。慢性腎臓病は生活習慣病とも深い関係性を持っており、アメリカの研究によると、糖尿病と診断された患者の約30%が、診断前から慢性腎臓病の傾向にあったと報告されています。具体的に慢性腎臓病の原因となるのは次のようなものです。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 肥満、メタボリックシンドローム
  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • 過食
  • 運動不足
  • 喫煙

慢性腎臓病の原因を見てみると、ほぼすべてが生活習慣の乱れから発生することがわかります。脂質や糖分の多い食事や運動不足によって肥満となり、悪しき生活習慣で高血圧を招き、結果的に慢性腎臓病と糖尿病を発症させる方が非常に増えているということです。

気づかないうちに患っている可能性も。放置すると重大な健康障害に。

慢性腎臓病の最も厄介なところは、本人が気づかないうちに病状が進行していることがあるという点です。慢性腎臓病の進行は非常に遅いですが、自覚症状が現れません。また、腎機能を測定する検査を受けなければ発見できないという点も、慢性腎臓病が世界的に拡大している理由でしょう。

つまり、自覚症状がなく本人が気づかない上に、検査をしなければ医師にも気づいてもらえないのが慢性腎臓病です。そのまま放置した場合には、腎機能が失われて腎不全になるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクも高まり、死につながる可能性も少なくありません。腎臓病の死亡率はかなり高く、その確率はHIV患者の約11倍とも言われています。

もしかして、と思ったらすぐに検査。早期発見が重要な鍵。

慢性腎臓病を発症した際に大切なことは、早期発見をすることでしょう。腎臓は一度機能を失うと回復することはありませんが、早期に治療を開始すれば、十分に改善する可能性が残されているからです。

自覚症状が現れない慢性腎臓病ですから、早期発見のためには検査が欠かせません。先にご紹介した「慢性腎臓病の原因」に当てはまる項目が多い方は、1年に1~2回は検査を受けるようにしましょう。また、腎機能は50歳以降から徐々に低下してくるため、当てはまる項目がない方であっても、50歳以上であれば定期的に検査を受けるようにしてください。慢性腎臓病の検査は尿検査か血液検査で行われるので、比較的簡単に受けることができます。

早いうちの治療が肝心。主治医と相談して症状に合わせた的確な治療を。

慢性腎臓病のステージは大きく5つに分かれていますが、ステージが進行すればするほど治療が難しくなり、腎機能の回復も見込めなくなっていきます。そのため、できる限り早い段階での治療が肝心です。

治療では、慢性腎臓病の進行を遅らせることと、症状を改善していくことがメインとなりますが、それに加えて合併している症状も改善していかなければなりません。例えば糖尿病を併発しているようなら、血糖値と血圧のコントロールをするための治療、降圧薬の服用、食事療法などが必要でしょう。このように、慢性腎臓病のステージや体調、基礎疾患のことも含めて考えながら治療が行われるため、主治医と相談して、適切な治療を受けるようにしてください。

まとめ

慢性腎臓病はその恐ろしさが知られていませんが、合併症を引き起こす可能性、腎機能が失われる可能性など、様々なリスクを秘めている疾患です。自覚症状が現れにくいことが特徴なので、定期的に検査を受けて早期発見を目指しましょう。

知っておきたい慢性腎臓病の初期症状

~複数当てはまる人は医師の受診を~
  • むくみ…老廃物が滞留し、顔や手足がパンパンにむくんでしまいます。特に、起床時に頻繁にむくんでいるようなら要注意です。
  • 貧血…腎臓は血液循環の司令塔なので、貧血や立ちくらみが頻繁に起こるようだと、腎機能が低下している可能性が考えられます。
  • 倦怠感…食欲不振・吐き気・頭痛など、日常的な体調不良を感じるようだと、知らないうちに腎臓病が進行している恐れがあります。
  • 夜間尿…尿の濃縮機能が低下することで、夜間でもトイレに行く頻度が多くなります。さらに、透明な未濃縮の尿が出るようだと要注意です。
  • 血尿…尿に血が混じる場合、血液をろ過する腎臓の「糸球体」になんらかの障害が起こっている可能性があります。

慢性腎臓病はゆったりと発症していくので、場合によっては「すでに慢性腎臓病が進行している」可能性もあります。自分でも健康診断や人間ドックの数値に注意し、できるだけ早期に見つけられるようにしましょう。

要チェック!健康診断で
注目したい数値

尿たんぱく値
尿中にたんぱく質が多いと、腎臓が上手く機能できていない疑いがあります。尿たんぱく値が『陽性(+)』になった場合は、医師の診断を受けましょう。

血清クレアチニン値
血液中の老廃物である血清クレアチニンが尿に含まれている場合も、腎機能の低下が疑われます。男性なら1.1mg/dl、女性なら0.8mg/dl以上だと注意が必要です。

慢性腎臓病が悪化するとどうなる?
グレードと症状

進行具合や腎機能を表す『eGFR値』を基に、慢性腎臓病は5つのステージに分けられます。それぞれの症状やリスクに関して見ていきましょう。

gradeグレード01
ステージ1 eGFR値90以上
  • 症状
    自覚症状はほとんどありません。健康診断や人間ドックなどで偶然発見されることが多く、腎臓障害が見られるものの、腎機能は正常という段階です。腎臓障害の原因を検査で突き止め、その原因を取り除くことで改善します。
  • 健康リスク
    この段階では糸球体腎炎などの可能性もあるため、精密検査の可能性もあります。また、慢性腎臓病の発症を予防することも重視され、糖尿病や高血圧などの症状があれば、それらの治療と改善が最優先となります。併せて生活習慣を改善していきます。
gradeグレード02
ステージ2 eGFR値60~89
  • 症状
    ステージ1と同じように、自覚症状が現れないことがほとんどで、健康診断の尿検査や血液検査などで腎臓障害が見つかることが多いでしょう。ただし、ステージ1よりは腎機能が低下している状態だと考えられます。
  • 健康リスク
    こちらも糸球体腎炎などのリスクがあるため、精密検査を行います。慢性腎臓病の発症予防が重視されるのもステージ1と同様ですが、この段階から改善を図れば、腎機能は十分回復の余地があります。
gradeグレード03
ステージ3 eGFR値30~59
  • 症状
    むくみ、夜間多尿などの尿異常、疲労感、貧血などが感じられるでしょう。血圧が上昇してくる場合もあります。腎臓の機能は通常時の半分程度に低下しており、生活習慣をしっかりと改善することと、適切な治療を行うことが症状の進行を防ぐためのポイントです。
  • 健康リスク
    この段階で適切な治療を受けなければ、少しずつ腎機能が悪化していき、回復不可となる可能性もあります。ステージ3は、慢性腎臓病を末期腎不全へと進行させないために重要なステージです。
gradeグレード04
ステージ4 eGFR値15~29
  • 症状
    腎機能が30%程度まで低下し、ステージ3よりも強いむくみ、尿量の減少、貧血などの症状が現れ、血圧が上昇します。また、尿毒症を発症した場合は、頭痛、嘔吐、不眠、食欲不振などが現れて、死に繋がる可能性もあります。
  • 健康リスク
    この段階では腎機能を回復させることができません。そのため、いかに現状を維持するかということが課題となります。尿毒症や脳血管疾患、心血管疾患を合併しないように注意することも必要でしょう。
gradeグレード05
ステージ5 eGFR値15
  • 症状
    貧血やミネラル異常、骨の異常などが現れてきます。腎機能はほとんど失われており、腎機能の回復は見込めません。末期腎不全と診断されます。そのため、透析を導入するか、腎代替療法で腎臓を移植することを検討します。
  • 健康リスク
    この段階での健康リスクは、腎機能が失われたことによって生じる異常が主となるでしょう。腎機能が低下するとビタミンDの働きが阻害され、カルシウムの吸収が行われなくなります。そのため、骨が異常に弱くなり、骨折が多くなるため注意してください。

発症予防と悪化防止のために心がけたい、
3つのこと。

腎臓は再生力が弱く、失った機能を取り戻すことはほぼ不可能だと言われています。
弱った腎臓と長く付き合っていくためには、腎臓に負担をかけず、症状を悪化させない行動が重要です。

生活習慣・食事内容
の改善

最も基本的かつ効果的なのは、食事内容を管理することです。腎臓に負荷のかからないように、カロリー・タンパク質・塩分などを、医師の監修のもとに制限した食事を摂るようにしましょう。

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腎臓サポート成分
を摂る

控えたほうがいい成分がある一方、腎臓への負担を軽減させる成分もあります。こうしたサポート成分を意識的に摂ることで血圧や尿回路を安定させ、腎臓を長持ちさせる工夫をしていきましょう。

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病院での定期的な
検査と治療

生活指導・食事指導・投薬など、病院での医師の指示は必ず守るようにしましょう。腎臓の専門医団体などもあるので、慢性腎臓病で悩んでいるなら、まずは医師の診察を受けるようにしてください。

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要注意!
慢性腎臓病と
高血圧の悪循環

血圧手帳

慢性腎臓病と高血圧は、とても密接な関係にあります。そもそも、ドロドロな血液が腎臓の負荷を増やし、慢性腎臓病の原因になります。さらに、腎臓の機能が弱まることで血液のろ過が上手くいかなくなり血圧が上がる→また腎臓に負荷がかかる→また血圧が上がる……という悪循環に入ってしまうと、慢性腎臓病は悪化の一途を辿ってしまいます。高血糖のドロドロ血液を改善し、血圧を落ち着かせることは、最も重要な慢性腎臓病対策になるのです
尿たんぱく値・血清クレアチニン値・eGFR値のチェックはもちろん重要ですが、日常的な『血圧』のチェックも必ず行うようにしましょう。

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血圧手帳

慢性腎臓病が進行すると?
どうなるの

慢性腎臓病の合併症

気付かないうちに腎臓機能が低下してしまう慢性腎臓病では、腎機能障害に伴うさまざまな合併症が現れ始めます。合併症の出現はひとりひとり時期が違いますが、腎機能障害は回復することが難しいため、どの合併症も発症する可能性があることを知っておきましょう。発症する可能性の高い合併症は次の通りです。

  • 尿濃縮力障害
    腎臓機能が低下していると尿の濃さを調節する力(尿濃縮力)の障害が起きます。たくさんの尿が出たり、夜間に頻繁にトイレに行くようになったりなどの症状が出ます。
  • 高窒素血症
    腎臓の糸球体のろ過機能が低下することで、血液中の尿素窒素が上昇します。尿素窒素が上昇すると腎臓の糸球体に負担をかけてしまい、高度になると尿毒症の症状が出現します。
  • 体液過剰・高カリウム血症
    体内に入った塩分やカリウムはほとんどが腎臓から排出されるため、腎臓機能が低下すると十分な排出ができず、体液過剰や高カリウム血症になります。
  • 代謝性アシドーシス
    人体は腎臓の力によって弱アルカリ性を保っていますが、腎臓の働きが低下すると酸性に傾きます。酸性になると、頭痛・低血圧・疲労感・不眠などを発症する危険性があります。
  • 腎性貧血
    腎臓機能が低下すると、血液中の赤血球の数が少なくなり貧血になりやすくなります。階段を上がる時に動機や息切れがしたり、倦怠感があったりします。
  • 二次性副甲状腺機能亢進症
    腎臓機能が低下するとカルシウムの吸収が不足して、血液中のカルシウム濃度が低下してしまいます。これによりカルシウムとリンのバランスが崩れ、骨が弱まります。
  • 心不全・肺水腫
    慢性腎臓病は、虚血性心疾患・大動脈弁狭窄症・慢性うっ血性心不全を引き起こします。また肺の中に水がたまる肺水腫も、呼吸困難をはじめさまざまな症状をもたらします。
  • 感染症
    感染症やウイルスによる感染症が腎臓や膀胱に影響を与えることがあります。細菌が尿路に入り込む尿路感染症や、腎臓と尿管の間に細菌が入り込む腎盂腎炎などが挙げられます。
  • 透析の必要性
    腎臓病の進行が進むと、最終的には人工透析が必要になってきます。血液を循環させる方法なので、透析を始めたばかりだと吐き気や頭痛といった副作用も見られますが、腎臓病が進行しても人工透析のおかげで普段と変わらない生活を送ることも可能です。腎臓病と上手く付き合っていくためには、人工透析の力を借りる可能性もあると覚えておきましょう。
  • 完治させることはできる?
    腎臓が徐々に衰えて機能が低下してしまう慢性腎臓病では、再生能力が弱いために一度失った機能を取り戻すことができません。つまり腎臓病は完治がほとんどできない病気なのです。では治療は何のために行うかというと、病気の進行を食い止めて腎機能を長持ちさせるため。残された機能を低下させず持続させるために、食事療法や薬物療法を取り入れます。